最近ちょっとお腹が出てきた。体脂肪率はそんなに高くないのに、お腹だけがぽっこりと出てしまっている。なぜだろうか?
実はそれにはお腹の筋肉の構造が関係していたのだ。
腹筋が割れている人はただフッキン運動をひたすらにしているわけではない。きちんとお腹の筋肉のことを知っている。
お腹の筋肉の構造は、腹筋を割るために絶対に知っておきたい知識なのだ。
今回はお腹の筋肉について詳しくお伝えしよう。これを知っているだけで、あなたのお腹のエクササイズの効果が抜群に上がるはずだ。しっかり理解してほしい。
目次
痩せているのにお腹が出るのはなぜ?
脂肪がたまっていないのにお腹がぽっこり出てしまっている。なぜだろう?
これはお腹まわりの筋肉が衰えているからだ。
筋肉は使わないで放っておくとどんどん衰えていく。生物の体はできるだけ省エネになる機会をうかがっているのだ。とくに運動不足で衰えていきやすいのが腹筋である。
腹筋には体全体を支える体幹としての働きや、体を曲げる働き、捻ったりする働きがある。だが、現代人のようにデスクワークばかりだとこういった動作はほとんどないと言っていいだろう。デスクに座っての生活だと腹筋が活躍する場所はないのだ。
こうして腹筋が緩んでくると、脂肪がたまっていないのにお腹がぽっこり出てくる。腹筋の作用である腹圧が弱まってしまって、中に詰まっている内臓の重みに耐えることができなくなるからだ。
腹腔が膨らんでしまう
腹腔とは
お腹には腹腔という袋がある。ここに消化器官などの人体にとって重要な内臓がおさまっている。
腹圧が弱くなってくると、この腹腔が風船のように膨らんでくる。背中側にはもちろん背骨があるので、ある程度膨らんでもそれ以上は進めない。だったらどちらに出るかというと、お腹側に出っ張っていくしかないのだ。こうやってお腹が出ていくということだ。
腹腔をつくるインナーマッスル
腹腔を構成するのはどういった筋肉だろうか?
これは横隔膜、腹横筋、骨盤底筋群、多裂筋である。これはすべて体の奥にある深層筋と呼ばれるものである。インナーマッスルと言っても良いだろう。
腹筋を割る前にお腹をへこますには、これらのインナーマッスルを鍛えて腹圧を高める必要がある。そうすればぽっこり膨らんでしまった腹腔の容積を小さくすることができるのだ。
内臓脂肪がしっかり取れていれば、このインナーマッスルを鍛えて腹圧が増すだけで、お腹の出っ張りはかなり抑えられると言ってよい。布団圧縮袋の空気をぎゅっと抜くイメージだ。
コルセットになる腹横筋を鍛える
ではこの腹圧を維持するために優先して鍛えるべき筋肉はどれだろうか?
それが腹横筋である。
腹横筋というのは腹部を水平に走っている筋肉である。背中側までぐるっと腹巻のように体を包んでいる。腹横筋をしっかりと鍛えれば、コルセットを締めたように腹圧がアップするのだ。
なぜ腹筋は割れるのか?
腹筋はとても薄い
実は腹筋と言うのはとても薄い筋肉である。真ん中にある腹直筋というのは最も厚いのだが、それでも通常は厚さ1cmほどなのだ。
腹直筋は肋骨と骨盤を結んでいる。しっかり割れたシックスパックでもわかるように、途中の3〜4カ所で健画と言う繊維状の帯が入っている。
クランチエクササイズなどでしっかりと腹直筋が鍛えられて2.0〜2.5cmまで厚くなると、凹凸が生まれてきて腹筋が割れる。健画は大きくならないので、腹直筋がそこでぎゅっと抑えられることになるからだ。
腹筋は4つの筋肉でできている
また、脇腹にあるのが外腹斜筋と内腹斜筋である。これらは体幹を捻るという機能がある。いちばん奥にあるのが腹横筋である。
これら4つの腹筋は先ほどの筋膜で一体化する。そして連動して動くというしくみになっている。
お腹のインナーマッスルの鍛え方
カンタンな動作で鍛える
インナーマッスルと言うのは薄く弱い筋肉である。通常の筋トレのようにダンベルといったウェイトを使わなくても、比較的カンタンな動作で鍛えることができる。
腹横筋であれば、大きく深呼吸をしながらお腹をへこませるような動きを繰り返す。これだけできちんと鍛えることができるのだ。
腹横筋と連動して動く骨盤底筋群は肛門を引き上げるような動きで強くすることができる。
意識しなくても腹をへこませるには
もちろん、しっかりと息を吐きながらの腹筋運動でも腹横筋は鍛えられる。ピラティスであれば骨盤底筋群や多裂筋も強くすることができる。
ある程度筋肉が鍛えられてくると、意識をせずとも、ぴんと張ったロープのようになってくる。お腹をへこまそうと考えなくても、すっきりへこんだ状態を維持できるということだ。
筋トレのクランチを一緒にやると効果バツグンだ。
筋膜リリースで姿勢を改善
筋膜とは
へこんだお腹を手に入れるためにさらに大事なのが筋膜である。
筋膜と言うのは皮膚と筋肉の間にある。
これは体を立体的に保つための、皮膚と筋肉の間にある薄いガーゼのような繊維状の組織である。第二の骨格とも呼ばれている。自転車競技などのぴっちりしたコンプレッションウェアをイメージして欲しい。これが全身を継ぎ目なく覆っているのだ。
紐で縛って荷物の型崩れを防ぐように、体を動かす上で大事なポイントにおいて繊維の網目が密になっている。皮下脂肪がたくさんついた三段腹は、この筋膜を境にして割れているのだ。
筋膜の構造
では筋膜と言うのは一体何でできているのだろうか?
これは丈夫なコラーゲンと、ゴムのように伸びるエラスチンと言う2種類のタンパク質である。
筋膜は筋肉のように自ら収縮することはできない。だが引き延ばすような力にはコラーゲンが抵抗することができる。姿勢安定を補助するサポーターの役割をしてくれるのだ。
姿勢の悪い人の筋膜
通常の状態であれば力が抜けるとエラスチンの復元力で元に戻ることができる。
だが悪い姿勢や動作がクセになってしまっていると、エラスチンが古いゴムのように固まってしまってうまく戻ることができなくなってしまう。
腹筋が弱い人は、背中側にある胸腰筋膜という部分に寄りかかって姿勢を保とうとしてしまう。腰が丸まってしまってお腹が出ているという、いわゆる姿勢の悪い状態だ。
これは胸腰筋膜が伸びて固まってしまっている状態なのだ。
胸腰筋膜とは
胸腰筋膜とはどこにあるのか?
これは背中に大きなバツ印を描くように広がっている。骨盤を中心として上は背中の広背筋、下はお尻の大臀筋とつながっている。上半身と下半身にわたった重要な筋膜である。
胸腰筋膜は腹横筋ともつながっている。腹部をサポーターのようにぎゅっと締めて正しい姿勢を維持する役目だ。
筋膜リリースのやり方
ストレッチによって伸びきったこの胸腰筋膜を解放してやると、腰が伸びてお腹がへこみやすくなる。筋膜リリースをしてやるのだ。
やり方はカンタン。仰向けになって両肘を反対の手で持つ。こうやって上半身を固定する。そのまま膝を胸に近づけていき、下半身よりの筋膜を伸ばしてリリースする。2〜3分くらいぐーっと筋膜を伸ばしてふっと力を抜くかんじだ。この間呼吸は止めないようにする。
胸腰筋膜と腹横筋はつながっている。胸腰筋膜がちゃんと働くようになると、腹横筋のコルセット効果もアップするということだ。筋肉を鍛えることも重要だが、ストレッチで筋膜をほぐすことも大事だということだ。
お腹だけ出てる状態をなんとかするエクササイズ特集
トレーニングが終わったあとは栄養補給を欠かさないこと
トレーニングをした後はプロテインもしっかり補給しておきたい。
日本人はカロリーを抑えすぎるあまりに、体をつくるために必要なタンパク質がキチンととれていない人が多い。
プロテインは余計な脂質や炭水化物を摂取することなくほぼタンパク質のみを補給できる優れたサプリメントだ。
プロテインは良質なタンパク質のかたまりなので、これが原因で太ってしまうということもない。
トレーニングでしっかり体を使ったら栄養補給も怠らないようにしてほしい。
はじめはコスパのいいものを選んでみて続けられるか試してみよう。
まとめ
腹筋を割る、お腹をへこませる、そのためにまず必要なのは筋肉の知識である。ただがむしゃらにフッキン運動をするだけでは思ったような効果は望めない。お腹の筋肉がどんな構造をしているか理解することによって、やるべきことが見えてくるのだ。エクササイズの前に、自分が今どこを鍛えてているのか明確にして最大の効果をゲットしたい。
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