腹筋を割るときに全身の筋トレは必要ないだろう?そう思っている人も多いかもしれない。
しかし、実は腹筋が6つに割れている人はおそらくほとんどが全身トレに取り組んでいるのだ。割れた腹筋を目指す人ならば皆やっていると言っても過言ではない。
全身トレには、腹筋を割るためのおいしい効果が数多くある。必ずやっておいた方がよいことなのだ。
今回は負担になりにくい全身トレーニングであるスロトレをイラストをまじえて詳しくお伝えしよう。ぜひ今日から実践してみてほしい。
目次
腹筋を割るのに全身トレは必要なのか?
腹筋を割るのに全身をトレーニングする必要があるのだろうか?そう不思議に人も多いだろう。
腹筋と全身トレ、実はこれがかなり関係しているのだ。
全身トレのメリット
全身を鍛えるメリットは3つある。
ボディーにメリハリがつく
ボディーにメリハリがつけられる。
たとえば、肩にある三角筋を鍛えると肩幅を広くすることができる。また胸の筋肉である大胸筋を鍛えると、胸板は大きく厚くなる。
こうして上半身が大きくなると、見た目的にはお腹が引き締まって見えるようになる。
もちろん腹筋のトレーニングも欠かさずにおこなうことで、体のラインはよりシャープになっていく。お腹がへこんで割れている美しい体を作り上げることができるのだ。
基礎代謝がアップする
筋肉がつくことでの基礎代謝のアップ。これも見逃せないポイントである。
3カ月間、本格的な全身の筋力トレーニングをすると、若い人では筋肉などの除脂肪体重が約2㎏増える。これによって基礎代謝は100キロカロリーほど増えると報告されている。
基礎代謝が100キロカロリー増えるとどうなるのだろうか?
これは体重60kgの人が30〜40分ウォーキングした場合に相当する。驚くなかれ、毎日がんばって一駅分歩かずとも、全く同じ効果を全身トレをするだけで手に入れることができるのだ。
基礎代謝のアップは、何もせずとも勝手に脂肪が燃えていく「体の不労所得」のようなものなのだ。これを活用しない手はないだろう。
成長ホルモンを分泌させる
筋トレは成長ホルモンの分泌を高めることができる。
成長ホルモンとは何なのか?
これはその名の通り、筋肉を大きく成長させていくホルモンである。
だが、この成長ホルモンにはもう一つの重要な役割がある。
それが、「脂肪を分解して脂肪減少を促進する」効果である。
脂肪はそのままではなかなか燃えづらい。成長ホルモンによって分解のシグナルを受け取り、すぐに燃せるような状態に変換しておく必要があるのだ。変換された脂肪は今か今かと燃える機会をうかがっているガソリンのようなものだ。
筋トレの後に有酸素運動という順番がよいと言われるのは、この分解された脂肪を有酸素運動によってガンガン使っていくことができるというメカニズムのことなのだ。
ただ、この成長ホルモンは局所的なトレーニングではあまり分泌されない。腹筋運動をひたすらやっているだけではダメなのだ。
だからこそ全身トレによって体の大きな筋肉を動かしてやることが必要になってくる。そうすれば成長ホルモンが血中に入って全身をめぐっていく。もちろんお腹にも巡ってくるので、腹筋を割るのにひと役買ってくれることになるのだ。
おすすめはスロートレーニング
全身の筋力トレーニングが有効な理由はわかった。だが、一体何をやれば良いのだろうか。また、あまりしんどいトレーニングはしたくないとあなたは思っているかもしれない。
そこでおすすめするのが「スロートレーニング」である。
スロートレーニングのメカニズム
以前紹介した記事にある、筋肉がつくメカニズムを参考にしてほしい。
今回のスロートレーニングは、この記事にあるパンプアップの方法に近い。
このトレーニングはダンベルなどを使った通常のレジスタンストレーニングのように強い物理的刺激は使わない。
そのかわり軽い負荷でゆっくりとした動作を行い、筋肉を絶えず緊張させ続ける。そうすることによって血流が制限されて筋肉中の酸素が少なくなる。こうなると激しい運動した時と同様に、筋肉に乳酸や水素イオンといった代謝物が溜まっていくことになる。
筋肉内の化学的環境を過酷にするということだ。
そうすると筋肉は溜まった代謝物の濃度を下げるために、周囲の水分を吸収していきパンパンに張ってくる。これが先ほどの記事のパンプアップである。化学的ストレスによって筋肉を肥大させるということだ。
一般的な筋トレとスロートレーニングを比較する
一般的な筋力トレーニングと比較しよう。
一般の筋トレでは筋肉が緩んだときに静脈に血液が流れ込み、収縮に押し出されるしくみになってある。この場合血流が滞ることはないので、化学的環境は悪化しない。
スロトレでは筋肉を緊張させ続けることによって、静脈への血液の流入が極度に制限される。そのために筋肉の化学的環境が過酷になるのだ。これは加圧トレーニングの原理と同じであらふ。
スロトレのメリット
スロートレーニングは、強い負荷で物理的刺激を加えなくても大きな筋肥大効果が見込める。
軽い負荷でトレーニングするので筋損傷は起こりにくい。だから、筋トレ初期によくある筋肉痛もそれほどひどくは起こらない。体が痛くて次の日にさしつかえるということがあまりないのだ。日々仕事で疲れている人にとっては嬉しい知らせだろう。
また、通常の筋トレでダンベルやバーベルを扱うときは、その重量設定やフォームが重要になってくる。これが間違っていると怪我の恐れが大きくなる。その点スロートレーニングにおいては重い重量を扱わないので安全性が高いというメリットがある。
スロトレで成長ホルモンは分泌されるのか?
では先ほどから述べている成長ホルモンはスロートレーニングでも分泌されるのだろうか?
安心してほしい、スロートレーニングにおいても成長ホルモンが十分に出ることが発表されている。
グラフを見ていただくとわかるが、80%1RM(1回ギリギリあげられる重量の80%の重さ)で行ったレジスタンストレーニングと50%1RMで行ったスロートレーニングの成長ホルモン分泌量を比較している。
この実験によると、スロートレーニングによる成長ホルモン分泌量がレジスタンストレーニングとほとんど変わらないことがわかるはずだ。
ちなみにもう1本のグラフは50% 1RMで普通のトレーニングを行った場合である。休憩を挟んで筋肉の緊張を解いてしまうと、あまり成長ホルモンが分泌されないということがわかる。それが1秒間であってもここまで差が出てくるというわけだ。軽い負荷であれば良いというのではなく、「筋肉の緊張を解かない」という点が重要だということだ。
スロートレーニングのやり方
では具体的にどうするのかスロートレーニングのやり方を紹介しよう。
上半身と下半身のトレーニングを週2回ずつ交互にやってもらいたい。上半身、下半身、休み、上半身、下半身というようにやってみる。
そして、スロートレーニングをやる上で覚えておきたい注意点がある。
ゆっくり動作する
スロートレーニングはゆっくりとした動作が基本である。ゆっくりと動くことで動作に勢いをつけることができなくなるので、持続的に力を発揮しやすくなる。
ただし、動作がゆっくり過ぎると反復できる回数が減ってしまう。そうなると運動のボリューム(力×移動距離)が小さくなってしまうため、乳酸などの発生が少なくなって十分なパンプパップができなくなる。
動かす速度としては3秒であげて3秒で下ろすようにする。
そして下ろしたときに1秒間静止する。これは反動を使わないようにするためである。
これを10回~20回ぐらい、筋肉が限界になるまで繰り返す。
筋肉を意識する
常に筋肉を意識しながら、緊張しているかどうかを確認しながら動作を行うことも重要だ。
力が抜けてしまうと血液が流れこむ。そうなると効果が減ってしまうので、とにかく動いている間はずっと筋肉を緊張させておくようにする。
そのため、脚や腕の関節は伸ばし切らずに動作を続けるのがよい。伸ばしてしまうと筋肉が緩んでしまうからだ。
スクワットならば立ち上がった時も膝関節は少し曲げておくようにする。関節を固定しないこのやり方はノンロック法と呼ばれている。それによって常に筋肉を緊張状態にすることができるだろう。
スロトレのメニュー
【上半身】プッシュアップ
足を揃えて膝をつく。腕を肩幅に開き、まっすぐにして床につく。尻は落とさず、背中と頭と一直線にする。
膝を支点にして、肩と肘を曲げ、床からこぶし1つ分くらいまで体を落とす。それからゆっくり元の姿勢に戻る。これを繰り返す。
【下半身】ハーフスクワット
足を肩幅か少し広いくらいに開く。つま先は少し開いた角度にする。まっすぐ前に揃えない。
膝の角度が90度になるまで、尻と膝を曲げる。かかとは床につける。膝を内側に曲げない。膝は動かさないようにする。人に聞いたり、鏡などを使って姿勢を見てみても良いだろう。決して勢いを使って戻らないこと。
トレーニングが終わったあとは栄養補給を欠かさないこと
トレーニングをした後はプロテインもしっかり補給しておきたい。
日本人はカロリーを抑えすぎるあまりに、体をつくるために必要なタンパク質がキチンととれていない人が多い。
プロテインは余計な脂質や炭水化物を摂取することなくほぼタンパク質のみを補給できる優れたサプリメントだ。
プロテインは良質なタンパク質のかたまりなので、これが原因で太ってしまうということもない。
トレーニングでしっかり体を使ったら栄養補給も怠らないようにしてほしい。
はじめはコスパのいいものを選んでみて続けられるか試してみよう。
まとめ
筋トレをすると筋肉痛がひどくて日常生活に支障が出る。そういった人にはこのスロートレーニングがおすすめだ。重いダンベルを持ち上げるのではなく、軽い負荷を使ってエクササイズができるので筋肉痛も起こりにくい。けれどもその効果はお墨付きである。これなら日々の習慣として取り入れることができるだろう。ぜひ取り組んでみて欲しい。
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アウターマッスルを鍛えるのももちろん大事だが、体の内側にあるインナーマッスルを鍛えることも重要だ。それにはピラティスがおすすめだ。腹筋に効くピラティスを紹介しておこう。
腹筋を割るのであれば、お腹にたまる脂肪についての知識もつけておきたい。
上でも紹介したが、筋肉がつくメカニズムも知っておいて損はない。
また腹筋を割るためには、お腹の筋肉の構造も頭に入れておきたいところだ。
一度に全てをやってしまう必要はない。筋トレも知識の補充も日々の習慣に取り入れて、仕事などに負担なく理想のカラダづくりをしていきたい。
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